院長コラム

2024.11.08

風邪と中耳炎

11月に入り、ようやく気温が下がり紅葉の季節になってきました。
同時に風邪ひきの子供たちが増加しています。コロナの流行期にはほとんど見られなかったのですが、コロナ流行前と同じように風邪ひきから急性中耳炎になる子供が増加しています。正確に述べますと、ウイルス感染の後、細菌感染を起こした鼻汁により中耳に炎症を起こし急性中耳炎になります。症状は耳痛、発熱、年齢により不機嫌、耳漏、耳閉感、耳の中での異音、耳の違和感などです。幼児では発熱がありますが、ないこともあり年齢が学童期になりますと耳の症状がほとんどになります。
治療の第一は抗菌薬内服です。起炎菌は肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラクセラ・カタラーリスです。主にペニシリン系抗菌薬が投与されることが多いのですが、耐性菌の問題や地域の薬剤の流通状況(現在も抗菌薬や鎮咳剤など出荷調整になっている薬剤も少なくありません)から必ずしも選択されないこともあり、治りに影響を及ぼすことも考えられます。場合により鼓膜を切って中の膿を出す鼓膜切開術が行われる場合もあります。耳痛や耳漏など耳の症状がなくなっても滲出液の貯留が続く場合もあり治癒を告げられるまで通院が必要になります。
保育園通園により何度も中耳炎が起こる反復性中耳炎もあります。程度により鼓膜チューブ挿入の適応になることがありますので、ご相談ください。
風邪ひきから急性中耳炎にならなくても滲出性中耳炎になっている場合も少なくありません。痛みがなくても子供の聞こえがおかしいと感じたらすぐに耳鼻科を受診ください。

 

2024.10.09

子供の鼻づまり

10月3日(木)~5日(土)を日本耳科学会参加のため休診していました。
7日(月)から通常通り診療を行っていますが、大変ご不便をおかけしました。今後しばらくは暦通りの診療日程です。

さて今月は子供の鼻詰まりのお話です。乳幼児から学童まで鼻詰まりがあると口呼吸になり、しゃべり方に変化が生じ、睡眠時にいびきや無呼吸が起こることになります。長く続くことにより下顎の発育が悪くなったり、顔貌に変化が生じたりします。ひいては歯並びや嚙み合わせにも影響が及ぶこととなります。
原因ですが、風邪ひきなら長く続くことはなく一定期間が過ぎれば改善しますが、いつまでも治らないとなるとアデノイドの肥大、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎を疑うことになります。アデノイドは鼻のずっと奥で上咽頭というところにあるリンパ組織で扁桃の仲間です。4-6歳ごろに最も大きくなりますが、個人差があり2歳ぐらいから成人前まで大きな人もいます。口を大きく開けても見えません。また副鼻腔炎も鼻の中を詳細に観察する必要があります。いずれも細い内視鏡を鼻からいれて検査を行うことになります。
アレルギー性鼻炎は花粉症であるのか、通年性のものなのか血液検査を行い、特異的IgE抗体を測る必要があります。そしてその抗体に応じた治療を行うことが必要です。そのためには一度耳鼻科で検査を受けていただき、鼻詰まりの原因をはっきりさせ、いつも鼻呼吸ができる健康な呼吸状態を作ることが重要です。

2024.09.03

聴力検査のすゝめ

迷走台風に翻弄された1週間が過ぎ9月になりました。まだしばらくは暑い日が続きそうです。
16日は敬老の日ですが、最近聞こえの悪さで受診される方が増加しています。ご自分で気なる方もいますが、家族など周囲の方に指摘されて初めて気づく方も少なくありません。ずっと若い時のままの聴力を維持できる人はいません。徐々に高音部を中心に聴力障害を起こしていきます。それに伴って耳鳴りを訴える方も多いようです。50歳が節目でしょうか。50歳を過ぎると聴力像に少し変化が出始めますので、自覚症状がなくても一度標準純音聴力検査を受けていただくことをお勧めします。
聴力障害の程度によっては語音聴力検査という単音節の聞き取り検査が必要になります。鼓膜に穴があるなどの中耳炎や耳小骨のなかのアブミ骨の動きが悪くなる耳硬化症等がなければ、ほとんどの場合、感音難聴という内耳の機能低下からくる聴力障害です。この感音難聴の場合は聴力を手術や薬で改善させることは出来ず、補聴器の装用が必要になります。その適否の判断のために語音聴力検査が必要になります。
補聴器の装用は聞こえの悪さを自覚してからでは手遅れのことがあります。気になる方は早めの受診と標準純音聴力検査、および語音聴力検査を受けていただくことが望ましいです。

2024.08.02

新型コロナ第11波

8月になりました。連日猛暑が続いていますが、昨年と同時期で同じように第11波と言われるような新型コロナウイルスの感染拡大が起こってきています。症状は発熱、咽頭痛、咳、声がれ、全身倦怠感などです。

迅速キットで抗原検査を行えば、かなりの割合で陽性と出ます。視診上の所見としては、上咽頭の発赤、喉頭特に声門下の発赤が著明なことです。この所見と発熱でほぼ全員コロナ陽性が出ます。ほとんどの方が、熱は3日以内におさまり、1週間で咳や咽頭痛もなくなるため、抗ウイルス薬のゾコーバを使うまでには至りません。ただ高齢の方や合併症のある方はゾコーバを処方しています。対症療法としてはステロイド吸入、咳止め、鎮痛剤、抗ヒスタミン薬などを処方しています。内服のみではなかなか咳が止まりませんので、ステロイド吸入が欠かせないこととなります。自宅療養は発熱日もしくは主な症状出現日を0日目と換算して5日目まで必要です。但し発症後10日程度はウイルスの排出がありますので、大切な方へ感染を拡大しないようご注意ください。

猛暑ですが、マスクをきっちりしていただきうつさない、もらわないことを心がけてください。1週間目ごろに嗅覚障害、味覚障害を引き起こすことも多いようです。続発する副鼻腔炎も頻発しているようです。ご注意ください。

2024.07.01

口腔がん無料検診

梅雨真っ只中の7月に入りました。早いもので1年の半分が過ぎてしまいました。やり残したことはないでしょうか。

耳鼻咽喉科医のほとんどが所属している日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会では今月は頭頚部外科キャンペーンを展開しています。これは舌がん、口腔がんを含めた首から上のがんを耳鼻咽喉科頭頚部外科が扱っていることを一般の方に広く知っていただくための啓蒙活動です。頭頚部がんの中で最も多いのが口腔がんです。
今月はこの口腔がんの無料検診を行います。舌がんを含めた口の中のがんを早期に発見するための検診です。当院も参加しています。インターネットで「口腔がん無料検診」と検索していただき、ご希望の地域と日時が合う医療機関で受けていただくことができます。ご注意いただきたいのは「口腔がん無料検診」と検索すると歯科での有料検診サイトも最初に出てきますので間違えないでください。
歯科では検診料5,000円~10,000円が必要なようです。口腔がん撲滅委員会となっているのが歯科での検診です。くれぐれもご注意ください。

舌がんも口腔底がんも頬粘膜がんも耳鼻咽喉科頭頚部外科で治療を行います。口の中でご不安がある方はこの機会に検診を受けていただき、早くお悩み事から解放されることを願っています。

1 2 3 4 5 6 22