加齢性難聴と補聴器
7月後半から8月にかけて酷暑が続いています。皆様、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
相変わらずコロナの方の受診が多いのですが、それ以外の難聴やめまい等耳の不調の方も以前のように受診されるようになってきました。外に出る機会も増えてきて人との会話に支障をきたすことに気づき受診されています。
加齢性の難聴であれば、薬や手術では治りませんので補聴器を適合させることになります。補聴器に対して最初から拒絶心があるような方も多く、スムーズに導入していくことに困難を伴うことも少なくありません。あまりにも難聴が進んでしまってから補聴器を使い始めるとすぐに聞こえるようなると思っておられる方がほとんどでご自分の予想を裏切ることになります。あまりにも難聴が進んでしまっていると脳が長らく音を聞いておらず、すぐに音が届いても言葉が聞こえないということになります。
補聴器を使い始めることが脳のリトレーニングの始まりですので、徐々に聞き取れるようになるのを待つことになります。とにかく雑音でもなんでも聞いていただいて脳が言葉を聞き取れるようになるのを目指します。ちなみに難聴は認知症の最大の危険因子です。難聴の進んだ方は認知も始まっているようなことも珍しくありません。
早めに補聴器の適合を進め認知症になることを防ぎましょう。
さて8月13日(日)から20日(日)まで夏休みとなります。ご理解の程よろしくお願いいたします。
第9波到来
7月に入り梅雨明け待ち遠しい毎日ですが、猛暑もやってきています。これだけ猛暑にも関わらず新型コロナは第9波に入っているようです。
明らかに5月の制限解除後、どこへ行っても人出が多くマスクをしていない方も増えつつあるようです。それに伴い当院を受診される患者さんにも咽頭痛、咳、声がれの症状と発熱、倦怠感を訴える方が増えているようです。抗原検査で陽性となる方も増加しています。さらにこのような症状が低年齢化しているようです。10歳以下の子供にも同様の症状を訴える子が多くなっています。咽頭痛の原因は喉頭の声帯の下のほうの声門下の喉頭炎です。普通に舌圧子で「あーん」とのどを見るだけでは診断することはできません。
間接喉頭鏡という鏡や、ファイバースコープでしか診断できません。今のどが痛いと聞けば、普通に咽頭炎を疑うような方はほとんどおらず、喉頭を見に行く必要があります。そのため診察に時間がかかりお待たせすることも多くなっています。咽頭痛、咳、声がれがあり発熱がない方も非常に多く陽性には出ないもののコロナを疑う方は随分多いように思います。
やはり飛沫感染を最も疑いますので、人が集まるところに行かれる際にはマスクをしていただくことをお勧めいたします。もちろん当院内では必ずマスク着用をお願いいたします。
学校健診
梅雨の6月に入っております。そろそろ各校とも学校健診が終了し、健診用紙を持ったお子様がちらほら受診されています。
子供たちの中で特に多い病名が「耳垢栓塞」です。
耳垢が詰まることが病気かと言うとそうではなく、耳垢が外耳の中に詰まっていて鼓膜が見えないので、鼓膜が正常かどうかの判断ができないということをあらわしています。したがってお家で耳垢を取って終わりということではなくその向こうの鼓膜に異常がないか検査を受ける必要があります。さらに受診されるのは当然プール授業の前にする必要があります。
「慢性穿孔性中耳炎」で鼓膜に穴が開いていて耳だれが出ているかもしれません。「滲出性中耳炎」で挿入された鼓膜チューブが抜けて穴が残っているかもしれません。そのような状態でプールに入ってトラブルが起こる前に耳の状態をチェックすることに意味がありますので、くれぐれも、貰ってきた健診用紙をご自分の都合で冬まで放置する(翌年に用紙を持って受診されることも珍しくありません)ことのないようお願いいたします。
ついでの受診する病気が発症するまで待たないでください。「副鼻腔炎」「鼻炎」もほとんどが急性疾患ですので速やかに受診していただくことが望ましいです。
何卒よろしくお願いいたします。
新型コロナ5類移行
各地とも多くの行楽客で賑わったGWも終わり、学校・職場へ通う生活が始まりました。
GW前後に体調を崩してのどが痛い、声が出ない、咳が出る、熱も出るというような症状を起こしていませんか。このような新型コロナ激似の症状の方がGW前後から大変多く受診されています。そのためか解熱鎮痛剤、咳止め、去痰剤、抗炎症剤などが各薬局で品薄になっており簡単に手に入らない状況が続いています。
咳の症状に必ず咳止めが必要というわけではなく、逆に咳止めだけでも止まらない咳は少なくありません。原因診断を受け、それを治す薬剤で十分咳は止まってきます。
咳の正確な原因診断を受けるようにしてください。同様に鼻水にも鼻水止めがいつも必要というわけではありません。副鼻腔炎のような粘稠な鼻水の場合は抗ヒスタミン剤を出さないこともありますので、常に原因診断を受け根本的な治療を受けるようにしてください。
今年、スギ・ヒノキ花粉症に悩まされた方で、舌下免疫療法を希望の方は初回の説明及び治療を始めておりますので、必要な検査や予約の手順については受付まで一度お問い合わせください。また5年以上経過した血液検査結果についてはもう一度やり直しております。その後の通院予定についても聞いておいてください。よろしくお願いいたします。
ヒノキ花粉大量飛散
新年度になりました。
気温の上昇も早く桜前線も一気に北上していき、開花から満開そしてすぐに葉桜になった印象です。
それと同時にヒノキの花粉も猛烈な勢いで飛散しました。ピークは過ぎた様子ですが、まだまだ油断できません。
一度激しく花粉症状の発作を起こした方は、ほとんど花粉が飛ばない状況でも同様の症状出現がみられる閾値の低下が起こるからです。来週ころまでにはヒノキ花粉も飛びつくすでしょうが、念のため4月中は薬の服用が必要です。
今年のように花粉の飛散量が大量になりますと抗アレルギー剤の内服だけでは症状を抑えることは困難で、鼻噴霧ステロイド薬の点鼻や抗アレルギー薬の点眼も必要になります。それでも症状のおさまらない方は、一時的にステロイド剤の内服かゾレア®という抗IgE抗体製剤の注射が必要になるかもしれません。また大量飛散の年には初めて花粉症になる方も多くなります。
今までに血液検査を受けたことがない方は、一度花粉などのIgE抗体を採血により測定しておく必要があります。その結果でスギ、ヒノキのIgE抗体の上昇を認め陽性となればスギ・ヒノキ花粉症と診断されます。それ以外の花粉の抗体の上昇を認める場合も多く、ダニ・ハウスダストを同時に認めることも少なくありません。そうなればそれらのアレルゲンによる発現時期に前もって対応を行うことも可能になりますので是非確定診断を受けておいてください。