学校検診
6月に入っても緊急事態宣言は延長となり継続中です。気温も上昇しマスクも暑くなってきました。
昨年は秋に行われた学校検診ですが、今年は例年通り5月~6月に実施されたようです。
最も多くの児童が指摘を受ける項目が、耳垢です。耳垢栓塞として学校から受診勧告の用紙を渡されるのですが、耳垢自体が病気というわけでなく鼓膜が確認することができないための病名としてつけられています。耳垢を除去して初めて鼓膜の確認を行うことができ、特に治療を必要とする疾患がないということを診断できます。中には鼓膜に穿孔(穴)があったり、耳漏がでていたり、鼓膜が病的に陥凹している場合や滲出液が貯留している(水がたまっている)こともありますので耳垢なんて病気じゃないと思わずに一度耳鼻科を受診してください。
特に3年生は中耳炎を見つける最後のチャンスです。あるかどうかわかりませんが、プールに入れるかの診断を受けることも必要になってきます。
鼻ではアレルギー性鼻炎も有病率が高いためすべての児童が指摘を受けるわけではありませんが、視診上重症例には用紙が渡されることがあります。お子様のアレルギーの詳細についてわかっていない場合は、アレルゲンを特定する良い機会と考えます。積極的に検査を受けてください。根本治療に結び付く場合もあります。
受診勧告の用紙を渡されたら、必ず耳鼻科を受診してください。お願いいたします。
イネ科花粉症
3回目の緊急事態宣言下のGWが終わりました。GW前にはヒノキ花粉の飛散が終了したのと同時にイネ科花粉が飛散しはじめました。
イネ科花粉とはカモガヤ・ハルガヤ・オオアワガエリに代表される雑草の花粉です。北河内では淀川河川敷や田畑の周辺、空き地や広場の雑草です。スギやヒノキほど遠方からの飛散はないためイネ科植物の生息地へ近づかないようにすることが最も重要です。
時期はGW前後から正確には梅雨明けまでですが、梅雨に入ると比較的花粉量は減って症状も軽減するので6月中旬ごろまででしょうか。河川敷では多くの子供たちが野球やサッカーなどのスポーツを楽しんでいます。もしイネ科花粉症に罹患していたらスポーツどころではなくなります。
2~3シーズン経験することでイネ科花粉に感作されて症状が出現することになります。もし風邪もひいていないのに河川敷で鼻水・くしゃみ・夜寝る頃の鼻づまりが起こるようになれば、すぐに耳鼻科を受診していただいて確定診断のため血液検査を受けてください。確定すれば事前に抗アレルギー薬を服用して野外活動を行っていただきます。事前の服用である程度症状の緩和を得ることができます。
それでもひどく症状が出現する場合でスギ・ヒノキの抗体もある場合には、生物学的製剤などの使用もできる可能性がありますので、早めにご相談ください。
ヒノキ花粉症
彼岸が過ぎて、気温の上昇と花見シーズンの到来で皆様の自粛の気持ちにもやや緩みが現れたのでしょうか。新型コロナウイルス感染者数が大幅に増加し、大阪は第4波の入り口にあるとされています。東京をはるかに追い抜いてしまい変異株の増加も指摘されています。
さらに毎年のスギヒノキ花粉の飛散も昨年に比べると多くなっています。この2週間程度はヒノキ花粉の飛散が続き、大陸からの黄砂の飛来と相まって症状を悪化させているかもしれません。またPM2.5の濃度上昇も報道されています。
PM2.5は2.5㎛以下の粒子状物質で炭素、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム、塩ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどで形成されています。黄砂は約4㎛程度の石英等の砂であり通過した場所の大気汚染を吸着する可能性があります。中国上空の硫酸アンモニウムなどを吸着し化学反応を起こしている可能性があります。PM2.5も汚染された黄砂も直接呼吸器へ入って何らかの障害を起こすことが心配されます。発がん物質の吸着の可能性も指摘されています。ただし目、鼻、のどの症状は花粉による症状と考えられます。
花粉粒子は約30㎛であり多くは鼻腔で付着します。何らかの増強効果があるかもしれませんが、具体的には不明です。洗濯物の室内干しとマスクの徹底(顔の凹凸に合わせた装着)、外出を控えるなどの行動が必要とされます。
これは新型コロナウイルス感染防止にも効果を発揮すると思われます。まだ2週間程度はヒノキ花粉の飛散が続くと考えられますので、細心の注意でお過ごしください。
スギ花粉飛散始まる
3月に入り第1週目は2日、4日と多くのスギ花粉が飛散しているようです。
2月20日頃から飛散し始め23日の天皇誕生日などは強風に伴い多くの花粉症の人たちを発症させています。それでもスギ舌下免疫療法を始めていた人や2月中旬から薬を飲み始めていた人たちすなわち初期療法を始めていた人達はそれほど悪化せずに済んでいるようです。手を打つのが遅れた方は結構症状が強く出ています。このことを教訓に来シーズンこそはゴールデンウィーク明けからぜひスギ舌下免疫療法に挑戦していただきたいと思います。すぐに結果がでない舌下免疫療法ですが、隔年現象で来シーズンは少ない可能性がありますので再来年に向けてスギ花粉舌下免疫療法を進めていただくのがベターと考えます。
そして今年、従来の内服や点鼻ステロイドで症状を抑え込むことができない方は皮下注射によるゾレア®という抗体治療薬による方法もありますので症状コントロールがうまくいってない方はぜひ一度ご相談ください。1週間以内に治療に至るスケジュールを考えています。
話は変わりますが、当院のホームページにYouTubeチャンネルがあります。その中にわが母校の耳鼻咽喉科の勧誘ビデオがありますので、一度ご覧ください。感想をお聞かせいただければ幸いです。
スギ花粉症と新型コロナウイルス
節分の昨日は10都市に対し緊急事態宣言の延長が発表されました。
立春の本日、新型コロナウイルス制圧に関しての春はまだまだといったところでしょうか。
今月に入りスギ花粉症の予防のために受診される方が多くなりました。毎年スギ花粉症に悩んでいる方は少し早めに内服を始めることが望ましいと考えます。すでにちらほら花粉が飛んでいるのですが、毎日1㎠あたり1個以上の花粉が飛び始める花粉飛散日は2月20日頃の予想ですので、2月14日には内服薬を開始していただくことが必要です。まだ手元に薬をお持ちでない方は早く準備してください。
今年はスギ花粉が昨年より多く飛ぶことが予想されています。平年よりは少ないようですが、花粉を吸入することでくしゃみ・鼻水が出て鼻や口を触る機会が増えます。むやみに触ると新型コロナウイルスに感染する機会を増やす可能性があり、そのあたりの注意が必要です。
例年の舌下免疫や内服などの治療で十分な効果を得られない方にはゾレア®という皮下注射による治療法も選ぶことができます。花粉飛散後、症状が重い方は舌下免疫や内服による治療中であってもすぐに受診していただき、血液検査でIgE抗体の量を測り注射薬の投与量を決めることができます。
例年の治療法で十分な効果が得られない方はご相談ください。